第59話|ビッグデータ・AI(人工知能)活用の2つのパターン。結局この2つが主流だった

第59話|ビッグデータ・AI(人工知能)活用の2つのパターン。結局この2つが主流だった

長年データ活用の携わってきて、データマイニングだのデータサイエンスだのビッグデータだのAI(人工知能)だのと、用語が変わっても、ビジネス活用のパターンは2つでした。

もちろん、2つのパターン以外の「他のパターン」も考えられるかもしれないが、実感としては2パターンしかない。

今後色々なデータ活用の形が創造されるかもしれないが、実績のあるのこの2つのパターンです。

なので、データを活用して実績を出したい! と考えたら、この2つのパターンで試してみるのが良いと思います。

ビッグデータ・AI(人工知能)活用の2つのパターン

次の2パターンです。

  • 現状の人の動き(業務の流れ)を変えないデータ活用
  • 人の動き方(業務の流れ)そのものを変えるデータ活用

1つ目の「現状の人の動き(業務の流れ)を変えないデータ活用」とは、文字通り、現状の業務の流れを大きく変えることなく、業務そのものを楽にしたり精度を高めたりするために、データ活用をするということです。

2つ目の「人の動き方(業務の流れ)そのものを変えるデータ活用」とは、1つ目の「現状の人の動き(業務の流れ)を変えないデータ活用」とは異なり、業務の流れそのものを根本から変えるデータ活用です。

データ活用に限らず、もっと広くIT化全般についても言えることでしょう。そして、多くの企業は、どちらも上手くいっていないケースが多いようです。

現状の人の動き(業務の流れ)を変えないデータ活用

データ活用で分かりやすいのは、「現状の人の動き(業務の流れ)を変えないデータ活用」でしょう。周囲を納得させやすいし、実感もしやすいでしょう。

例えば、Excelマクロで業務を効率化するのも、「現状の人の動き(業務の流れ)を変えないデータ活用」に含まれます。

機械化や自動化、AI(人工知能)化などにより、業務の一部が楽になったり、場合によっては業務そのものを人が実施する必要がなくなります。

例えば、営業のアタックリスト作成や、商材のレコメンドリスト(営業パーソンが既存顧客に紹介する商材のリスト生成)、トークスクリプト例の生成やメール文面例の生成などは、現在のデータ分析技術である程度実現することができます。

このあたりのデータ活用であれば、現在の業務を大きく変えることなく、業務そのもののスピードや質を上げることができます。実際に、上手くいっている企業もあります。

しかし、このレベルのデータ活用も、あまり上手くいかない企業が少なくありません。理由は簡単です。その理由とは、業務プロセスが明確でないためです。

業務プロセス(もしくは、ビジネスプロセス)が明確であれば、どのプロセスをデータ分析によって効率化し、業務の精度を高めるのかを検討できます。

要するに、現場を知らないことには、データマイニングだのデータサイエンスだのビッグデータだのAI(人工知能)だのと、唱えたところで、ビジネス活用は進みません。

例えば、商材のレコメンドリスト(営業パーソンが既存顧客に紹介する商材のリスト)の必要なタイミングはいつなのかを知らないと、いくらレコメンドリストを提供しても使ってもらえません。

このように、現場の業務プロセスレベルを明確にできていないと、上手くデータ活用が進みません。

では、「人の動き方(業務の流れ)そのものを変えるデータ活用」の場合はどうでしょうか。

人の動き方(業務の流れ)そのものを変えるデータ活用

「人の動き方(業務の流れ)そのものを変えるデータ活用」でも、業務プロセスを知らないことには上手く進みません。

なぜでしょうか?

業務プロセスを眺めていると、順番を逆にしても問題ないプロセスや、統合してしまっても問題ないプロセス、いらないプロセスが見えてきます。

例えば、プロセスの順番を大きく変え、業務の一部を自動化したとします。この時点ですでに「人の動き方(業務の流れ)そのものを変えるデータ活用」になります。

さらに、ドラスティックは新業務プロセスを発見することもあります。私が経験したことですが、ある部署の業務をAI(人工知能)化という名のもとの自動化をしたとき、約80%以上の時間が削減されることがありました。

現場の業務プロセスレベルを明確にしているからこそ、見えてくることです。

業務プロセスを明確化する効用がもう一つあります。

説明できる

業務プロセスを明確化することで、現場や経営陣に説明しやすくなります。新旧の業務プロセスを比較して説明できるからです。

新しいITシステムが導入されたとき、現場で気になるのは、何をどう変えればよいのかです。

そのため……
「現状の業務の流れはこうで、新しい業務の流れはこうだ」
という説明があれば分かりやすいでしょう。

しかし、多くの場合現場に対しそのような説明はありません。説明があったとしても、それはツールの使い方ぐらいです。

データ活用だけでなくIT化全般に言えることですが、新しいITシステムのやり方を導入しても、全体の業務の流れの中での活用の仕方が見えてこないと、現場は動きようがありません。

そうなると、現場は現状のやり方をほとんど変えることなく、無駄なITシステムが導入されるだけで、効率化どころか無駄なITシステムと付き合うための作業工数がかかってしまいます。

つまり、不効率なIT化です。

そうならないためには、現場の業務プロセスレベルの理解は必要になってきます。その後に、以下の2つのパターンで躍動します。

現状の人の動き(業務の流れ)を変えないデータ活用
人の動き方(業務の流れ)そのものを変えるデータ活用

現状は、上手くいっている企業のデータ活用は、この2つのパターンのいずれかです。今後は分かりませんが……

今回のまとめ

今回は、「ビッグデータ・AI(人工知能)活用の2つのパターン。結局この2つが主流だった」というお話しをいたしました。

どちらのパターンでも上手くいくためには、現場の業務プロセスレベルの理解が必要になります。データ活用されるのが、業務だからです。業務には、現場の営業パーソンやマーケターの業務だけでなく、マネジャーや経営層レイヤーの意思決定業務も含みます。

データ活用するぞ! となったら、先ずはその対象業務を業務プロセスレベルに分解し、どのプロセスでデータ活用できそうかを検討し、可能ならばプロセスそのものを変えるのもよいでしょう。

少なくともデータ活用を目指すなら、業務プロセスを明確化することからお勧めします。きっと、何かが見えてきます。

業務プロセスを明確化するとき、頭の中だけでやってはいけません、紙に書きだしたり、データとして残したりし、多くの人が見える形にしましょう。

面倒ですが簡単です。一度試してみてください。