XAI(説明可能AI)について調べ始めると、次のような疑問が自然に出てきます。
- Excelでできないのか
- BIツールの可視化で十分ではないのか
たしかに、集計・グラフ化・定型レポートであれば、ExcelやBIツールは非常に強力です。
ただ、XAIを単なる「見栄えの良いグラフ」ではなく……
……として運用しようとすると、ExcelやBIでは越えにくい壁が出てきます。
今回は、なぜXAIはPython(やRなどのスクリプト言語)でやるのが現実的なのかについてお話しします。
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XAIの本質は「1枚のグラフを作ること」では終わらない

XAIというと、たとえば次のような図を思い浮かべる方が多いかもしれません。
- 特徴量重要度(どの変数が効いているか)
- SHAP値の棒グラフ(寄与度の可視化)
もちろん、これらはXAIの入口として分かりやすいのですが、実務ではそれだけでは足りません。
たとえば、見込み顧客(リード)に対して「セミナー案内」や「営業訪問」を行い、受注確度を予測するモデルを作ったとします。
このとき現場からは、単に「施策の重要度トップ3はこれです」と言われても、こう聞かれます。
- なぜこの顧客は反応したのか?(この1件の説明)
- なぜこの施策は効いたと判断したのか?(判断の根拠)
- 条件が変わったら結論はどう変わるのか?(感度・頑健性)
つまり必要なのは……
……です。
一度作った図を眺めて終わり、ではなく、「条件を変えて確かめる → 追加で説明を作る → 反論に備える」という往復運動が発生します。
ここで、ExcelやBIでは試行錯誤の回数がボトルネックになりやすいのです。
ExcelやBIが苦手になりやすい作業

ExcelやBIツールが得意なのは、主に次の領域です。
- 指標が固定されたダッシュボード
- 定型の集計・グラフ
- 毎月同じフォーマットで更新するレポート
一方、XAIの実務では、次のような作業が頻繁に発生します。
- モデルを入れ替えて比較する(ロジスティック回帰 vs XGBoost など)
- 説明手法を変えて挙動を見る(PFI / PDP / ALE / SHAP など)
- 特定のデータ点だけ深掘りする(「この顧客」の説明)
- 前提条件を変えて検証する(外れ値除外、期間変更、特徴量追加など)
たとえば、重要度が高い特徴量として「Web閲覧回数」が出たとします。
- ある手法では「Web閲覧回数が増えるほど受注確度が上がる」
- 別の手法では「一定までは上がるが、ある点から頭打ち」
このような違いが出ることがあります。
このとき実務では、「どっちが正しい?」ではなく……
- どういう条件で差が出たのか
- どの解釈なら判断に使えるのか
……を確かめる必要があります。
ExcelやBIでも頑張ればできますが、手作業が増えたり、作業が属人化したり、再現が難しくなったりしがちです。
PythonやRが持つ「再現性」という武器

PythonやRといったスクリプト言語でXAIを扱う最大の理由は、結局ここに集約されます。
具体的には、次のような情報をセットで固定できます。
- どのデータを使ったのか(期間、抽出条件)
- どのモデルを使ったのか(学習手順、パラメータ)
- どの説明手法を使ったのか(SHAP、PFI、PDPなど)
- どの条件で評価したのか(分割方法、指標、閾値)
たとえば、実務では次のように聞かれることがあります。
- その説明って、どの期間のデータで作ったの?
- モデルを更新したら結論変わらない?
- 条件変えても同じ説明になる?
PythonやRなどなら、「このコードを同じ条件で回せば同じ説明が再現できます」と言えます。
これは、レビュー・再検証・引き継ぎにおいて極めて強力です。
説明責任は「センス」ではなく「手順」で引き受ける

XAIを実務で使うと、レビューや意思決定の場で、次の問いが必ず出てきます。
- なぜこの説明(このXAI説明手法・可視化結果)を採用したのか
- 別の説明(別のXAI説明手法・見せ方)ではダメだったのか
ここで「なんとなくこの図が分かりやすいから」と答えると、説得力が落ちます。
PythonやRなどであれば……
- 別手法との比較
- パラメータ変更
- 前提条件の差分検証
……を、同じコード基盤の上で一気通貫に実行できます。
つまり……
……ということです。
たとえば、次のように複数の角度(XAI説明手法)から整合性を確認できると、「この説明なら判断に使える」という合意形成がしやすくなります。
- PFIではこう見える
- SHAPではこう見える
- PDP/ALEで形状を確認するとこう
PythonやRなどは「説明を作る環境」である

PythonやRは単なる実装言語ではありません。
- モデル構築
- 説明手法の適用
- 可視化
- レポート化(HTML、PDF、Notebook、ダッシュボード等)
これらを一つの流れとしてつなげられます。
XAIの実務で重要なのは……
- 分析(モデル)
- 説明(可視化・言語化)
- 判断(意思決定)
……が分断されないことです。
PythonやRなどは、これらを……
……として機能します。
「PythonやRが難しい」という誤解

ここでよくある反論が、次の一言です。
ただ、実務で本当に困るのは、「PythonやRが難しいこと」そのものではありません。
困るのは……
- 説明できない分析が増える
- 説明の作り直しが属人化する
- 時間が経つと再現できない
……といった、運用上の“詰み”が起きることです。
一度PythonやRでXAIの流れ(前処理→学習→説明→出力)を整えてしまえば……
- 再利用
- 修正
- 改善
……は、むしろExcelより楽になることが多いです。
月次でモデル更新をする場合、Excelで毎回同じ作業を再現するのは地味に大変です。
PythonやRなどなら、「ボタン一つ(=スクリプト実行)で更新」まで持っていけます。
今回のまとめ
XAIは……
- グラフを作るための技術
- 見た目を良くするための手法
……ではありません。
それは……
判断に耐える形に整えるプロセス
……です。
そのプロセスを、再現性をもって回せる環境が、PythonやRといったスクリプト言語です。

