第27話|データ活用の現場を躍動させるOODAループ

第27話|データ活用の現場を躍動させるOODAループ

営業やマーケティングなどでデータ活用をするとき、PDCA(Plan-Do-Check-Act、計画‐実行‐評価‐改善)サイクルが、上手く回らないという問題が起こっています。

様々な問題がありますが、仮にPDCAサイクルがぐるぐる回ったとしても、機能しないことがあります。このような場合、スピードの問題があります。

頑張ってPCDAサイクルを回しても、環境の変化スピードに対応できず、後手後手に回ってしまい有効な対策が打てないのです。

どれだけ早く回せばPDCAサイクルは機能するのか?

では、どれだけ早く回せば、PDCAサイクルは機能するのでしょうか。

私の経験上、営業やマーケティングの活動では、1カ月単位だとPDCAサイクルは上手く機能しません。少なくとも、1週間単位です。結構大変です。

しかし、理想は1日単位です。超高速PDCAサイクルです。1週間単位でPDCAサイクルを継続的に回すだけでも大変なのに、それを1日単位で回すのです。

「そんなことできるのか?」と思う方もいるかもしれませんが、実際にPDCAサイクルのようなものを1日単位で回している企業の部署もあります。最初は大変かもしれませんが、慣れるとどうにかなるのかもしれません。

ちなみに、その企業のある部署とは、ソフトバンクの某部署です。1日単位でPDCAサイクルを回し、市場環境の変化スピードに対応しています。

通常の企業の通常の部署では無理だと思います。強烈なカリスマ経営者がいればこそ実現できる曲芸だと私は思っています。

管理のためではないなら、PDCAにこだわる必要はない!

営業やマーケティングのデータ活用の現場で、なぜPDCAサイクルをできるだけ高速(例:1日単位や1週間単位など)に回す必要があるのでしょうか。

それは、「管理のため」ではありません。変化に適応し柔軟に「動くため」です。

管理目的でなければ、PDCAサイクルにこだわる必要はありません。柔軟に動ける別のものがよいでしょう。

その1つが、OODA(Observe-Orient-Decide-Action、観察-方向付け-決定-行動)ループでというものです。実際に、OODAループは米軍などで利用されています。

  • O(Observe、観測)で、何が起こっていたのかを、蓄積したデータをもとに計算した指標をモニタリングし明らかにします。要するに、現状把握をすることです。
  • O(Orient、方向付け)で、今後の「方向性」とそのための「実現手段」を考えます。要するに、将来の展望を描きます。

つまり、O(Observe、観測)で「今」を考え、O(Orient、方向付け)で「未来」を考えます。このO(Observe、観測)とO(Orient、方向付け)はセットです。

  • D(Decide、決定)で、O(Orient、方向付け)で出した「実現手段」の中から、「次にやること」(アクション)を選び決定します。
  • A(Act、実行)で、D(Decide、決定)で決めた「次にやること」(アクション)を実際に実施します。

非常にシンプルです。そして、誰もが無意識でやっていることなのです。

OODAループは誰でもやっている(無意識で……)

ODAループを一言でいうと「データを見て考え、そして行動する」となります。このようなことは、多くの人が子供のころから、自然にやっていることでしょう。

幾つか例をあげます。

  • テストの成績が悪ければ、苦手な箇所を探し克服しようと勉強することでしょう
  • 部活の試合の結果が良くなければ、勝つための練習メニューを考え自分なりに努力することでしょう
  • 朝寝坊して学校に遅刻してまったら、早起きできるように目覚まし時計の設定を工夫したりすることでしょう

大人になってもシチュエーションが異なるだけで、同じようなことをしています。幾つか例をあげます。

  • 営業成績が計画したよりも悪ければ、挽回しようと何かしら頑張ることでしょう
  • 体調が芳しくなく体温計を見て高温であれば、会社を休むことでしょう
  • 月給前に残金が少なく金欠であることが分かれば、出費を抑えることでしょう

この例であげた、「テストの成績」や「試合結果」、「遅刻した時間」、「営業成績」、「体温」、「残金」は数字で表現されたデータです。このデータを見て考え、何かしらの行動をとっています。OODAループそのものです。

このOODAループを意識することなく、多くの人が「無意識」にやっています。

この無意識でやっていることを、「意識的」にデータを活用してやるのがOODAループによるデータ活用方法です。その仕組みが「DELTA法」という弊社独自のデータ活用の仕組みです。

PDCAサイクルとOODAループの関係

OODAループは「動くため」のものです。きわめて現場活動よりのデータ活用サイクルと言えます。

つまり、管理するならPDCAサイクルだが、現場が柔軟に動くためにはOODAループのほうが向いています。企業レベルや部レベルであればPDCAサイクル。営業やマーケティンなどのデータ活用の現場ではOODAループ。要するに使い分けです。

では、どのように使い分けるのか。

例えば、営業部で大まかな受注件数や受注金額などの目標設定をし、部単位でPDCAサイクルを回し部全体を管理する。日々の営業パーソンの活動はOODAループで回し進める。

このとき、OODAループは、PDCAサイクルのD(Do、実行)の部分に該当します。

つまり、現場で何をすべきか大まかな目標を設定し管理するのがPDCAサイクルで、その目標を達成するために現場が動くためにするのがOODAループとなります。

現場の営業パーソンは、各個人(もしくは、各グループなど)でその日の営業活動(Act、行動)の「振り返り」と「次に何をすべきか」を考えるため、1日の最後もしくは翌朝に、OODAループのOOD(Observe-Orient-Decide、観測-方向付け-決定)を実施します。

このようなことは、普段から何気なくやっている人も多いであろう。この何気なくなっていたことを、データを使い「意識的」にOODAループで回し進めるのです。

次回、どのようにデータを使い「意識的」にOODAループで回し進めていくのかをお話しいたします。