第227話|完璧にデータを集めなければならないという勘違い

第227話|完璧にデータを集めなければならないという勘違い

いざデータ活用を始めようと考えたとき、データ収集から始めることがあります。

そのとき、完璧にデータを集めようと考える人も少なくありません。

しかし、データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に想像する必要そうなデータは、妄想にしかすぎません。

今回は、「完璧にデータを集めなければならないという勘違い」というお話しをします。

どう活用していいか分からない問題

いざデータ活用を始めようと考え、データをある程度集めたとき、次にようなつぶやきは以前からあります。

このデータ、どう活用していいか分からない

目的を明確に定めても、このつぶやきは起こりえます。

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に、どのようなデータを完璧に把握することは難しいです。

他社を参考にしても、自社の他部署を参考にしても、難しいです。

一人一人の人間が異なるように、データ分析・活用(データサイエンス実践)も異なります

参考にはなりますが、まったく同じにはなりません。

妄想と現実のギャップ

要するに、妄想現実にはギャップがあるということです。

データ分析・活用(データサイエンス実践)をすると、絶対必要と思ったデータがそれほど必要でなかったり、あればいいかなぐらいのデータが必要不可欠だったりします。想像もしなかったデータが見えたりします。

多くの場合、想像していたデータとは異なるデータが必要になるのではないでしょうか。

何が必要なのかは、今あるデータや手に入りやすいデータだけででもいいから、データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施してこないと見えてきません。

そのときはじめて……

  • すでにあるデータは?
  • 追加で入手できそうなデータは?
  • 購入できそうなデータは?
  • 他のデータで代替できないか?

……などを検討し、データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施しながらデータ収集を検討し実施するのがいいでしょう。

データにも80:20の法則がある

パレートの法則で有名な「80:20の法則」ですが、データの世界にも当てはまる気がします。

集めたデータが平等に使われるのではなく、よく使われるデータと、あまり使われないデータに分かれると言うことです。

また、同じように使われたデータでも、影響度が大きいデータと、そうでもないデータもあります。

2つの視点(使用頻度と影響度)

幾つかの視点がありますが、例えば次の2つの視点で考えると分かりやすいです。

  • 使用頻度
  • 影響度

絶対集めるべきデータは、使用頻度が高くかつ影響度の大きなデータです。

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前や、データ分析を実施したり数理モデルを構築する前に、完璧に把握することは、非常に難しいと思います。

使用頻度:よく使うデータ

データ分析・活用(データサイエンス実践)を色々実施していくと、よく使うデータそうでもないデータがあることに気が付くと思います。

とりあえずこのデータ項目はデータセットに含めておこう、という形で常にデータセットに登場するデータ項目があります。一方で、まったくデータセットに登場しないデータ項目もあります。

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に、ある程度想像も付きますが、たまに想像もつかないようなデータ項目が、頻繁に活用されることがあります

業種や企業、部署などによって、頻繁に活用されるデータ項目が微妙に異なってきます。

1点注意点があります。

データセットに登場しないデータ項目の理由が、欠測値や異常値だらけでデータが不完全であるという理由や、データ収集されていないという理由なども考えられます。

データが不完全であるという理由」や「データ収集されていないという理由」などの理由で、データセットから除外するのは止めましょう。

必要そうであれば、不完全であろうが収集されていなかろうが、データセットの中に含めておきましょう。

実際は、データ分析やモデル構築などには使いませんが、「ちゃんとしたデータを集めよう」「データ収集する仕組みを作ろう」という感じの意識づけというかプレッシャーにもなりますし、「本当は必要だけど考慮されていない情報が何か」(解釈上重要)が分かります。

影響度:影響の大きなデータ

いつもデータセットの中には登場するけど、正直あってもなくても、分析結果や予測結果などに大きな影響を与えないようなデータ項目もあります。

逆に、データセットの中にたまに登場するけど、ある課題解決上重要なデータ項目もあります。

当然ですが、大きな影響を与えるようなデータ項目は、非常に重要です。

先ほどの「使用頻度」と合わせると、次にようなマップを描けると思います。

使用頻度」も「影響度」も、実際にデータ分析・活用(データサイエンス実践)をしなければ、分かりません。

使用頻度」も「影響度」も高そうなデータを準備してみて、本当のところどうであろうかと検討しながら、出来る限りきちんと集め整備すべきデータと、そうでもないデータを見極めていく作業が必要になります。

今回のまとめ

今回は、「完璧にデータを集めなければならないという勘違い」というお話しをしました。

いざデータ活用を始めようと考えたとき、データ収集から始めることがあります。

そのとき、完璧にデータを集めようと考える人も少なくありません。

しかし、データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に想像する必要そうなデータは、妄想にしかすぎません。

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前や、データ分析を実施したり数理モデルを構築する前に、完璧に把握することは、非常に難しいと思います。

何が必要なのかは、実際にデータ分析・活用(データサイエンス実践)を実施してこないと見えてきません。

使用頻度」も「影響度」も高そうなデータを準備してみて、本当のところどうであろうかと検討しながら、出来る限りきちんと集め整備すべきデータと、そうでもないデータを見極めていく作業が必要になります。

データをある程度揃えてから何かをするというよりも、今あるデータもしくはすぐ入手できそうなデータだけで、とりあえずデータ分析・活用(データサイエンス実践)を実施してみることをお勧めします。