第244話|ホメオスタシスな現場を動かすのは大変

第244話|ホメオスタシスな現場を動かすのは大変

人は変化を嫌がるものです。

人体は、環境変化に対し身体の状態を一定に保つ働きがあり、ホメオスタシス(恒常性維持)と呼ばれています。気温が上がれば発汗作用を起こし体温上昇を押さえます。

同様のことが心理面でもあり、今のやり方やライフスタイルなど維持しようという働きとして出てきます。

データ活用上、非常に困ったことになります。

今回は、「ホメオスタシスな現状維持願望の強い現場を動かすのは大変」というお話しをします。

基本、データ活用は嫌がられる

何かしらデータ活用をするとき、現場では何かしらの行動変容が必要になります。従来のやり方の一部もしくは全部を変える必要がでてきます。

そのため、データ活用により変化を強いられる現場からみたら「データ活用は恐らく嫌なこと」になります。

実際、非常に嫌がられます

明確に「嫌だ!」と言われることもありますが、言葉としてではなく、行動として示される場合も多々あります。データを活用した行動をしない、ということです。

基本、データ活用は嫌がられると思った方がいいでしょう。

DXが進まない原因の1つかもしれない

最近叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)では、当然のこととしてデータ活用は登場します。

データ活用が無ければ、デジタイゼーションと呼ばれる単なるデジタル化(業務の一部をITで置き換えただけ)に過ぎません。

ということは、DXという観点で見たとき、いかに現場を動かしデータ活用を浸透させるのかが非常に重要になってきます。

そう考えると、このことがDXが進まない原因の1つかもしれません。

強制力でどうにかなるか?

強制的にデータ活用を推進する、というやり方もあります。

このような場合……

  • やっているふり
  • 完全無視
  • ちょっとだけやる

……といった感じでしょう。

現場は納得したり理解しないと、現場は動きません。

納得と理解

納得と理解、どちらが重要か?」というと、私の経験から言うと「理解」の方が重要です。

なぜならば……

  • 心の底から納得させるのは非常に大変
  • 納得してても理解していないと上手くいかない

……からです。

理想は「納得し理解してもらうこと」ですが、二兎追うのは大変なので、先ずは「データ活用の理解を得ること」を目指した方がいいでしょう。

データ活用の理解を得ること」とは、データ活用の目的長所と短所(Pros & Cons)の理解と、データを使った行動の仕方の理解です。

納得してても理解していないと上手くいかないというのは、納得しててもデータを使った行動の仕方が分からないと動けないので、そのデータ活用は上手くいかない、ということです。

変化の小さなデータ活用から始めよう

一気に変えたい! と思うかもしれませんが、一気に変えるには、それなりのパワーとものすごいエネルギーが必要になります。

変化が大きいほど、現場の「嫌がる度」が増すからです。

お勧めなのが、データ活用のやり始めの頃は、「データは活用するけれども、現場の動きがあまり変化することがない」というちょっとしたデータ活用です。

そこでメリットを感じてもらえれば、もっとデータ活用してもいいかも、と思ってくれるかもしれません。

今回のまとめ

今回は、「ホメオスタシスな現場を動かすのは大変」というお話しをしました。

人は変化を嫌がるものです。

データ活用と言う視点で考えたとき、非常に困ったことになります。何かしらデータ活用をするとき、現場では何かしらの行動変容が必要になるからです。

そのため、データ活用は基本嫌がられると思った方がいいです。その前提で、先ずは「データ活用の理解を得ること」を目指した方がいいでしょう。

変化が大きいほど、現場の「嫌がる度」が増すため、データ活用のやり始めの頃は、「データは活用するけれども、現場の動きがあまり変化することがない」というちょっとしたデータ活用がお勧めです。