第270話|ビジネスに不可欠なCLTV(顧客生涯価値)とは?

第270話|ビジネスに不可欠なCLTV(顧客生涯価値)とは?

CLTV(顧客生涯価値)は、有料顧客であり続ける全期間において、どれだけの金額をビジネスにもたらすかを示す指標です。

どの顧客のCLTV(顧客生涯価値)が高く、どの顧客のCLTV(顧客生涯価値)が低いのかを見積もることは、ビジネス活動をする上で非常に有用です。

例えば、リードを選別するとき、CLTV(顧客生涯価値)が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょうし、既存顧客の対応に強弱を付けたいとき、CLTV(顧客生涯価値)が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょう。

さらに、離反しそうな顧客に対応を打つときも、CLTV(顧客生涯価値)が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょう。

CLTV(顧客生涯価値)を知ることで、色々なデータ活用ができそうです。

今回は、「ビジネスに不可欠なCLTV(顧客生涯価値)とは?」というお話しをします。

顧客獲得よりも顧客維持

CLTV(顧客生涯価値)のスタンスは、顧客獲得よりも顧客維持へ比重をかけることです。

いかに離反させずに継続させるのか、ということが最大の関心事になります。

顧客獲得よりも顧客維持へ比重をかけるとは、単に既存顧客の継続に注力するというだけでなく、顧客獲得時も顧客維持を念頭に注力する、ということになります。

そう考えると、離反しにくくCLTV(顧客生涯価値)が高くなる可能性の高い顧客を獲得した方が良さそうです。

コスト

顧客を獲得し維持し続けるには、コストが必要になります。

大きく2種類あります。

  • 顧客獲得コスト(CAC: Customer Acquisition Costs)
  • サービス提供コスト(CS: Cost to Serve)

顧客獲得コストは顧客獲得のための一回限りのコストで、サービス提供コストは継続的なコストです。

CLTV(顧客生涯価値)が分かると、顧客獲得コストがどのくらいの期間で回収できるかが分かります。

サービス提供コストは、顧客のよって大きく変動する可能性があります。サービス提供コストが高すぎると、顧客獲得コストの回収ができず、最悪赤字で終わります。

CLTV(顧客生涯価値)の計算式

サブスクビジネスのような、各顧客の売上高が安定しているビジネスの場合、CLTV(顧客生涯価値)を以下のように計算できます。

CLTV = ( ACR - CS ) × D - CAC
  • ACR:年間顧客収益(Annual Customer Revenue、受注金額の顧客あたりの年平均)
  • D:顧客年数
  • CAC:顧客獲得コスト
  • CS:年間サービス提供コスト

D(顧客年数)の代わりに、継続率(RR: Retention Rate)を利用した見積もり方法があります。

継続率ベースで見積もるCLTV(顧客生涯価値)

CLTV(顧客生涯価値)を、継続率ベースで見積もる方法が最もメジャーでしょう。

CLTV = ( ACR - CS )  × RR ÷  ( 1 + d- RR ) - CAC
  • RR: 継続率(Retention Rate)
  • d: インフレを考慮した平均割引率

継続率(RR: Retention Rate)が大きく変わらないという前提があります。もしくは、継続率を継続期間に応じて変化させるモデルでもいいでしょう。

ただ、1%でも継続率(RR: Retention Rate)があれば、100年も200年も永続的に収益が発生することになるため、実務的には期間に上限(例:10年先まで、など)を設けることがあります。

購買頻度ベースで見積もるCLTV(顧客生涯価値)

ECサイトなどの一般消費者などを対象にしたビジネスの場合、1年間の内に何度も購買してくれます。

この場合、購買頻度平均購買金額をもとに、CLTV(顧客生涯価値)します。

CLTV = APFR × APP × ACL
  • APFR:平均購買頻度(Average Purchase Frequency Rate)
  • APP:平均購買金額(Average Purchase Price)
  • ACL:平均顧客期間(Average Customer Lifespan)

こちらも、実務的には顧客期間に上限(例:10年先まで、など)を設けることがあります。そもそも、そのサービスが未来永劫続いている保証はありません。

全体と個別で見積もろう

3種類のCLTV(顧客生涯価値)の方法を紹介しました。

さらに、全体のCLTV(顧客生涯価値)顧客別のCLTV(顧客生涯価値)があります。

最初は、Excelでも計算可能な、全体のCLTV(顧客生涯価値)を見積もるところから始めましょう。

それを、年単位や四半期単位で比較しながら分析するといいでしょう。

数理モデルを活用することで、顧客単位のCLTV(顧客生涯価値)を見積もることができるようになります。

Excelではほぼ不可能ですので(頑張ればできますが……)、RPythonなどのCLTV(顧客生涯価値)用のパッケージ等を活用し見積もりましょう。

今回のまとめ

今回は、「ビジネスに不可欠なCLTV(顧客生涯価値)とは?」というお話しをしました。

CLTV(顧客生涯価値)は、有料顧客であり続ける全期間において、どれだけの金額をビジネスにもたらすかを示す指標です。

どの顧客のCLTV(顧客生涯価値)が高く、どの顧客のCLTV(顧客生涯価値)が低いのかを見積もることは、ビジネス活動をする上で非常に有用です。

例えば、リードを選別するとき、CLTV(顧客生涯価値)が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょうし、既存顧客の対応に強弱を付けたいとき、CLTV(顧客生涯価値)が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょう。

さらに、離反しそうな顧客に対応を打つときも、CLTV(顧客生涯価値)が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょう。

CLTV(顧客生涯価値)を知ることで、色々なデータ活用ができそうです。

興味のある方は、一度見積もって見ましょう。

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