第277話|未来業績を左右する顧客満足度・探索意向率・NPS

第277話|未来業績を左右する顧客満足度・探索意向率・NPS

自社の業績を知るには、単に売上高や市場シェアなど分析すればいいでしょう。

未来の業績を知るには、過去データをもとに時系列予測モデルを構築し予測するという手もありますが、顧客の声を反映し、もう少し構造的に検討してもいいかもしれません。

例えば、顧客のロイヤリティ関連の指標を組み込み検討する、ということす。

色々なロイヤリティ関連の指標がありますが、比較的シンプルなものに、以下の3つがあります。

  • 顧客満足度
  • 探索意向率
  • NPS

いずれも、アンケートやインタビューなどを絡ませたものです。

今回は、「未来の売上を左右する顧客満足度・探索意向率・NPS」というお話しをします。

ロイヤリティ関連の指標と未来業績

ロイヤリティ関連の指標が悪化すれば今後の業績は悪化し、ロイヤリティ関連の指標が良くなれば今後の業績は良くなるであろう、ということはなんとなくわかります。

例えば、売上が伸長しているビジネスでも、顧客満足度を調査した結果「満足した者の割合:0%、不満足した者の割合:100%」であるのに、なんら改善することなく、そのままこのビジネスを継続したら、そのまま売上が伸長し続けることは恐らくないでしょう。

単に、過去の売上データから時系列予測モデルを構築しただけでは考慮できない、何かがあります。

近未来(明日や来週、来月など)であれば時系列予測モデルで十分であっても、それよりも先の未来(来年、3年先など)の場合には不十分なケースが多々あります。

そこで以下の3つのロイヤリティ関連の指標です。

  • 顧客満足度
  • 探索意向率
  • NPS

この3つはあくまでも指標であって、考えるきっかけを与えるに過ぎません。

顧客満足度が悪化したとき、なぜ悪化したのか、どうすれば改善するのかは、人が人智を尽くし検討する必要があります。

レコメンドモデルのような数理モデルが、改善案などを提案したとしても、最後には人が意思決定します。

Amazonのおすすめ商品を、勧められてからと言って全て買う人がいないことから、多くの人は最終的には自ら意思決定し決めています。

顧客満足度

顧客満足度とは、5段階もしくは7段階の評点を顧客につけてもらうものです。

  • 5:非常に満足
  • 4:やや満足
  • 3:どちらとも言えない
  • 2:やや不満
  • 1:非常に不満

「5:非常に満足」と評価した顧客は、そのまま顧客でい続けてくれる可能性は高いでしょう。

一方、「1:非常に不満」と評価した顧客は、離反する可能性は高いでしょう。

よくあるのは……

  • Top1 Box:「5:非常に満足」の割合
  • Top2 Box:「5:非常に満足」+「4:やや満足」の割合

……を計算しモニタリングすることです。

さらに、なぜ「5:非常に満足」なのか、なぜ「1:非常に不満」なのか、を分析することが多いです。

探索意向率

探索意向とは、ある商品が手に入らないときに他の商品にスイッチせず、探索し続けることです。

探索し続けるとは、店舗を変えて探す、購買を延期してまで待つ、生産が通常に戻るまで購買量を減らし対応する、などです。

顧客満足が「5:非常に満足」であったとしても、その商品が手に入らない場合、他の商品にスイッチする可能性は大いにあります。そのスイッチをしない割合が、探索意向率です。

逆に、探索意向率が高くても、顧客満足度が高いとは限りません。

希少価値の高い(と思っている)流行品などを手に入れるために、お店の行列に並んでまで購入するケースなどです。この場合、探索意向率は高いと言えますが、商品を手に入れて使用してみたら、それほどでもないことも、あることでしょう。

理想は、顧客満足度も探索意向率も高い商品です。

顧客満足度が低くても、探索意向率が高い商品もあります。代替コスト(金銭的・労力的・社会的など)の高い商品です。

顧客満足度と同様に、探索意向率を計算しモニタリングし、さらに、なぜ探索意向率が上がったのか、なぜ探索意向率が下がったのか、を分析することが多いです。

NPS

ある商品が広まるとき、利用者の口コミも大きな力になっています。

他人にあえて勧めたいぐらい良い商品なのかどうか、他人にあえて勧めたくないぐらいのダメ商品なのか、未来業績を占う上で気になるところです。

そこで、NPS(純推奨者数)です。以下のような簡単な数式で表現できます。

NPS(純推奨者数) = 推奨者比率 - 批判者比率

推奨している者の割合と批判している者の割合の差を計算しているだけです。

推奨者より批判者が多ければ、その商品は拡大しにくいであろうし、批判者よりも推奨者が多ければ、その商品は拡大しやすいであろう、ということです。

NPS(純推奨者数)を計算するために、推奨したいかどうかを10点満点で顧客に評価してもらい、顧客を以下の3つのタイプに分類します。

  • 推奨者:評点が9点~10点
  • 中立者:評点が7点~8点
  • 批判者:評点が0点~6点

このNPSで気をつけるべき点が幾つかあります。

わかりやすいところですと……

  • 上市したばかりの商品は顧客が少ないためにNPSが乱高下しやすく安定しない
  • NPSの指標が良くなったのは単に批判者が離反したため
  • 2極化する商品(評価の分かれる商品)であるが故にNPSが低くなっている
  • そもそも口コミするような商品ではないため中立者が多い

……などなど。

顧客満足度や探索意向率と同様に、NPSを計算しモニタリングし、さらに、なぜNPSが上がったのか、なぜNPSが下がったのか、を分析することが多いです。

今回のまとめ

今回は、「未来の売上を左右する顧客満足度・探索意向率・NPS」というお話しをしました。

自社の業績を知るには、単に売上高や市場シェアなど分析すればいいでしょう。

未来の業績を知るには、過去データをもとに時系列予測モデルを構築し予測するという手もありますが、顧客の声を反映し、もう少し構造的に検討してもいいかもしれません。

例えば、顧客のロイヤリティ関連の指標を組み込み検討する、ということす。

色々なロイヤリティ関連の指標がありますが、比較的シンプルなものに、以下の3つがあります。

  • 顧客満足度
  • 探索意向率
  • NPS

いずれも、アンケートやインタビューなどを絡ませたものです。

ロイヤリティ関連の指標が悪化すれば今後の業績は悪化し、ロイヤリティ関連の指標が良くなれば今後の業績は良くなるであろう、ということはなんとなくわかります。

近未来(明日や来週、来月など)であれば時系列予測モデルで十分であっても、それよりも先の未来(来年、3年先など)の場合には不十分なケースが多々あります。

気になる方は、取り入れてみてはいかがでしょうか。