第11話|販促というギャンブルは、販促データ分析でギャンブルでなくなる

第11話|販促というギャンブルは、販促データ分析でギャンブルでなくなる

販促って、本当に効果があるのかないのか分からない。でも、止めるのも怖い……

このように考えている経営者も、少なからずいます。

効果のあるなしは、本当に売上が上がったのか確かめるしかありません。

しかし、売上が大きく上がるときもあれば、売上が思ったほど上がらないときもあるため、本当のところどの程度効果があるのか分からないのです。

一度で判断するのは、残念なこと

よく、たった一度だけ効果が見られなかっただけで、「この販促活動は効果がない」と判断する企業や人がいます。

例えば、初めてインターネット広告をしたら、効果が見られなかったのでもう止める。2~3回かやって効果のあったキャンペーンが、今回上手くいかなかったから、もうやらない。

一度上手くいかなくても、次上手くいくかもしれない。逆に、一度上手くいっても、次は上手くいかないかもしれない。今までやっていたからと、だらだら効果があるのか無いのか分からない販促活動を、習慣的にやり続けるケースもあります。

常に一定の成果を得る販促活動は、通常ありません。

販促の効果は、常にばらつきます。いい時もあれば悪い時もある。つまり、一定に保つことはできません。

なぜならば、競合がどのような動きをしているのかにも影響を受けますし、顧客の行動にも影響を受けます。業界動向の影響もありますし、世界情勢が影響してくることもあります。

つまり、色々な要因がかかわってくるため、販促の効果を一定に保つことはできないのです。

販売促進活動は、ギャンブルと同じです

販促はギャンブルに似ています。

日本でギャンブルといえば、競馬です。例えば、1位になりそうな馬にお金を掛けます。掛けた馬が1位になれば、掛けたお金以上のリターンを得ることができます。

1頭の馬に掛けるのもよいですが、多くの場合色々な馬に別々の金額を掛けます。例えば、1万円の元手を、リターンができるだけ大きくなるように、馬への掛け金を配分します。投資と考えれば、投資配分します。できるだけ、収益性の高い馬に、お金を掛けようとします。

販促も同じです。どの販促活動にいくら投資するのかを考えなければなりません。できるだけ、収益性が高くなるように、販促活動に投資配分します。

戻っているリターン(お金)には変動はつきもの

ギャンブルは、当たれば大きなリターン(お金)を得られますが、外れればリターン(お金)は0です。掛け金があるので、実質マイナスです。

できれば、リターン(お金)を一定化したい。しかし、それは無理な話です。競馬で1位になる馬を、事前に知らなければ、確実なリターン(お金)は望めません。

販促も同様です。どの販促活動が今回当たるのかは分かりません。競馬ほどではないですが、当たれば大きいですし、外せばリターンは小さくなります。

つまり、ギャンブルも販促も、リターンには変動があるのです。この変動のことを「リスク」といいます。リスクが大きいとは、変動が大きいということです。リスクがあるとは、リターンが安定しないことです。

通常、リスクと聞くとマイナスのイメージがあります。しかし、リスクは正の方向(売上が大きくプラスになる)こともあるのです。

リターンの大きさ以上に、リスク低減を目指す

販促データ分析の主要テーマの1つに、販促に投資した金額以上のリターン(収益)を得るということがあります。販促の効果は、変動するため「予測の平均値」で考えます。

この平均値は曲者です。あくまでも平均にすぎず、実際に平均値の値になることはありません。単なる目安にすぎません。

目安に過ぎなくても、リターン(収益)の予測の平均値が高くなるように、販促活動に投資配分しようと考えることでしょう。そうでなければ、販促データ分析しているとは言えません。

問題なのは、リターン(収益)が変動つまりリスクがあることです。実は、販促データ分析の良い点は、このリスク低減を目指すことができることにあります。

要するに、ローリスク(変動を小さく)ハイリターン(収益を大きく)を目指すことが、販促データ分析ではできるのです。厳密には、目指すだけでローリスク(変動を小さく)ミドルリターン(収益がやや大きく)になります。

ローリスク(変動を小さく)とハイリターン(収益を大きく)はトレードオフ

販促データ分析の主要テーマの1つが、ローリスク(変動を小さく)とハイリターン(収益を大きく)の両方を実現することです。

多くの場合、ハイリターン(収益を大きく)を目指すとハイリスク(変動が大きく)なります。これではギャンブルです。

逆に、ローリスク(変動を小さく)を目指すとローリターン(収益が小さく)なります。これは堅実ですが、費用対効果を考えたとき、あまり良い結果になりません。通常、費用対効果は悪くなります。

つまり、ローリスク(変動を小さく)とハイリターン(収益を大きく)はトレードオフの関係になります。

では、どうすれば良いのか?

販促データ分析でギャンブルでなくなる

販促データ分析の目指すところは、ローリスク(変動を小さく)ハイリターン(収益を大きく)。現実には、ローリスク(変動を小さく)ミドルリターン(収益がやや大きく)。

ローリスク(変動を小さく)ということは、安定したリターン(収益)を確保できることを意味します。一定のリターン(収益)ではないですが、リターン(収益)の予測の平均値から大きくかい離することはありません。

つまり、ローリスク(変動を小さく)ミドルリターン(収益がやや大きく)な販促は、もはやギャンブルとは言えないでしょう。