第12話|営業データ分析の進め方は、小学校のときの学芸会だった

第12話|営業データ分析の進め方は、小学校のときの学芸会だった

営業で、データ分析活用をしたいけど、進め方が分からない……

営業で、いざデータ活用をしたいというとき、最初につまずくポイントの1つです。

一番やってはいけないのが、「見える化」です。見えただけで、動けないケースが多いからです。「見える化」へのIT投資が無駄になることが多々あります。

では、どうすればよいのでしょうか。小学校のときの学芸会です。

小学校のときの学芸会

小学校のときの学芸会。1,2か月前から練習し、本番に挑みます。小学校時代、誰もが経験したことでしょう。

そして、小学校のときの学芸会は、どの年もほぼ同じです。正確には、同じような流れと、同じような内容で構成されています。もちろん、中身は異なります。「型」がほぼ同じなのです。

私には小学生の子供がいます。小学校の学芸会の「型」は、わたしが小学校時代の30年前と今で、ほとんど変わりません。よくもまぁ、ここまで変わらないものだと感心するぐらい、「型」は変わりません。

「歌」と「劇」と「踊り」という構成です。最後のトリは小学6年生(ちなみに、私の子供は6年生)。「劇」の主役などは交代制です。台詞のしゃべり方も、何もかも、30年前と同じです。

営業データ分析の進め方も、実は「小学校の学芸会」なみに「型」がほぼ同じです。私の経験上、大企業も、中堅企業も、中小企業も、ベンチャー企業も、ほぼ「型」は同じです。

営業データ分析の進め方の「型」とは?

営業活動や販売促進活動のデータ分析活用を、「セールスアナリティクス」と言います。

このセールスアナリティクスの進め方の「型」はほぼ決まっています。つまり、「営業データ分析の進め方」と「販促データ分析の進め方」はほぼ同じで、その進め方の「型」はほぼ同じということです。

そもそも、営業活動と販促活動を明確に切り分けることは難しく、結局のところ「売上」をあげるという点では同じ。

営業データ分析の進め方の「型」です。

Step.1: 営業データ分析の「目的」を定義する
Step.2: 営業データ分析の「指標」を設計する
Step.3: 営業データ分析の「業務プロセス」を整理する
Step.4: 営業データ分析の「予測モデル」を構築する
Step.5: セールスアナリティクスを「運用」する

詳細な説明は、ここでは省きますが、この営業データ分析の進め方の「型」は、本当にどのような企業でも、ほぼ同じです。「小学校の学芸会」なみにほぼ同じです。

※この営業データ分析の進め方の「型」については、別の機会に詳細に説明します。

そして、この5つのStepの中も、ほぼ同じです。例えば、Step.1の「営業データ分析の『目的』」はどのような企業もほぼ同じだし、Step.2の「営業データ分析の『指標』」もどのような企業もほぼ同じということです。他のStepも、どのような企業もほぼ同じです。業種や企業規模は関係ありません。

Step.1の「営業データ分析の『目的』」は、どう同じなのか?

5つのStepの中がほぼ同じである例として、Step.1の「営業データ分析の『目的』」について説明します。

営業データ分析の「目的」は、大雑把に言って3つしかありません。

(1)新規顧客を増やす
(2)既存顧客の離反を減らす(リピートさせる)
(3)既存顧客の取引額を増やす

売上は、「売上=顧客数×客単価」という簡単な数式で表せます。

※客単価とは、1企業あたりの年間取引額の金額です。

(1)と(2)で、顧客数を増やします。(3)で客単価を増やします。これだけです。多くの場合、この3つを同時にデータ分析で実現するか、どれか1つを集中的にやります。

例えば、「新規市場なので新規顧客を増やしたい」、「市場の競争が激しいので既存顧客の離反を減らしたい」、「飽和市場で顧客数が増える見込みがないので、得意様を増やしたい」など、企業によって注力するポイントは異なりますが、ほぼほぼこの3つで目的は定義されます。

Step.1以外の他のStepも同様に、業種や企業規模は関係なく似たり寄ったりの内容になります。

一番企業によって異なるのは、Step.3の「営業データ分析の『業務プロセス』」です。でも、思っているほど大枠は異なりません。どちらかというと、詳細になると異なります。企業によって、部署の名称が異なったり、データ分析の専任の部署が有るのか無いのかで異なりますし、一部業務をアウトソースしているのかどうかでも異なります。

つまり、「営業データ分析の進め方」は、それほど気にする必要も、悩む必要もないということです。「型」通りに進めていけばよいだけです。

営業データ分析を根付かせるには、学芸会なみの練習が必要である

営業データ分析の進め方の「型」通りにしも、組織には営業データ分析は根付きません。その根付かせることが、営業データ分析の中で最も難しいことです。

では、どうすればよいのか?

小学校の学芸会なみの練習をすればよいのです。トレーニングです。

小学校の学芸会も、1、2か月の練習があればこそ、本番であそこまでできるのです。逆に考えれば、本番であそこまでできるようになるために、一所懸命練習するのです。何一つ練習せずに、上手くいくことはありません。

営業データ分析も同じです。

いきなり営業データ分析を実践しても、上手くいきません。練習が必要です。本番で練習していきまっす。学芸会と違い、常に本番があるからです。

小学校の学芸会は、1回しか本番はありません。多くても2回(生徒用と親用)です。営業活動は、日々本番があります。学芸会と営業活動の大きな違いです。営業の場合、常に本番で試せるチャンスがあるのです。

では、営業データ分析の練習って何でしょうか?

営業データ分析の練習って何だ?

営業データ分析活用を始めとした、セールスアナリティクスを上手く組織浸透し、成功裏に収めるコツは、「小さく始めて大きく波及させる」です。

「小さく始める」ところが、学芸会の練習に相当します。小さく始めた結果、上手くいけば大きく組織内で波及させればよいのです。

では、「小さく始める」とはどういうことか?

小学校の学芸会の練習で、いきなりすべてのパートをやることはありません。例えば、劇であれば、いくつかのパートに分解し、1つ1つ練習していくはずです。そういう意味で、小学校の学芸会の練習は、小さく始めています。

営業データ分析の場合の「小さく始める」とは、ある特定の商材で、ある特定の営業課(もしくはグループ、係など)で、営業データ分析をやってみるということです。営業データ分析の進め方の「型」に沿ってやってみます。

かなり慎重に思えるかもしれませんが、このやり方が一番の近道です。いきなり、営業全体で営業データ分析をすると、ほぼ「見える化」という部分で止まってしまい、その先に進めません。

ある特定の商材で、ある特定の営業課(もしくはグループ、係など)で営業データ分析を、試行錯誤しながら、その組織に合う営業データ分析の「型」を作り上げていきます。そうすることで、営業データ分析は組織浸透し、企業内で回り始めます。

つまり、営業データ分析の進め方が小学校のときの学芸会だっただけでなく、営業データ分析そのものが小学校の学芸会なみの練習が必要だということです。