第97話|「それなりにデータならあるんだけど……」≒「まともなデータがない……」だったりする。でも、すべきことがちょっと違う

第97話|「それなりにデータならあるんだけど……」≒「まともなデータがない……」だったりする。でも、すべきことがちょっと違う

私は仕事柄、次のような質問をよくします。

データの状況どうですか?

当然ながら、その答えは千差万別です。その中で不思議な答えがあります。

それなりにデータならあるんだけど……

という回答と、

まともなデータがない……

という回答です。

何が不思議化というと、回答の仕方が異なるのに、データ状況が同じなのです。

ここで言う「データ状況」とは、社内のデータのコンディションのことで、データがどのように蓄積され、どのように活用しやすいように整備されているのか、ということです。

どちらも、データ分析・活用が進んでいないことは共通しているのですが、このデータ状況が同じなのです。

この回答で、データ分析・活用の状況が垣間見えます。そのことから、データ分析・活用の「現状(現在位置)」が分かり、何から始めるべきかが変わってきます

今回は、「『それなりにデータならあるんだけど……』≒『まともなデータがない……』だったりする。でも、すべきことがちょっと違う」というお話しです。

「それなりにデータならあるんだけど……」

ある製造業の執行役員の方に、なんとなくデータ状況を質問したときです。

それなりにデータならあるんだけど……。上手く活用できていない

 データは結構たまっているので、何かに使えないかと考えている

このような回答が返ってきました。

データ状況を質問したときに返ってくる、よくある回答の一つです。

どのような企業にも、何かしらデータは溜まっています。逆に、溜まっていない企業のほうが少ないでしょう。

例えば、財務データは個人事業主レベルの小規模事業者にも必ずあります。無いと逆に「ヤバイ」です。決算や確定申告ができませんから。

「まともなデータがない……」

ある小売業のIT部門の管理職の方に、なんとなくデータ状況を質問したときです。

まともなデータがない……。使い物になるデータがなくて困っている

 色々やろうと思っているけど、データ分析といえるほどのレベルに達していない

このような回答が返ってきました。

データ状況を質問したときに返ってくる、こちらもよくある回答の一つです。

「それなりにデータならあるんだけど……」≒「まともなデータがない……」

なんとなくデータ状況を質問した後、もう少し掘り下げて質問をしていくと、面白いことが判明することがあります。

全てがすべてというわけではないのですが、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答と、「まともなデータがない……」という回答、データ状況だけを考えると「同じ」だったりします。

どう同じかというと、「データ分析できるほど整備されているデータはない」という意味で同じです。

なぜ、真逆のような回答になるのでしょうか?

不思議と言えば不思議ですが、データ分析の活用に向けて、どの程度考えチャレンジしたのかで、回答の仕方が変わってくるようです。

何がどう違う?

先ほど、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答と、「まともなデータがない……」という回答、データ状況だけを考えると「同じ」だったりする…… というお話しをしました。

違いは、そのデータでどこまでデータ分析したのか、もしくは、どこまでデータ分析しようとしたのか、にあったりします。

  • それなりにデータならあるんだけど……」の場合、そもそもデータ分析をするというチャレンジをしていない。全てではないですが、そのようなケースが多いです
  • まともなデータがない……」の場合、データ分析にチャレンジしたけど、このデータ状況では十分なデータ分析ができない。全てではないですが、そのようなケースが多いです

つまり、データ分析・活用という観点で考えると、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答をする企業よりも、「まともなデータがない……」という企業のほうが、進んでいるケースが多いです。

どういうことかと言いますと、「データ分析したことによって、データ状況の現状が分かった」ということです。

「それなりにデータならあるんだけど……」の場合、先ずすべきこと

「それなりにデータならあるんだけど……」の場合、先ずすべきことは、今あるデータで何かしら分析してみることです。

どのような分析でも構いません。

多くの場合、相当苦労すると思います。分析できるようなデータにするための、データ整備に相当苦労すると思います。

そして、分析後に、以下のように思うかもしれません。

  • 同じ日付なのに、データによって型が違う……
  • データのフォーマットがバラバラすぎる……
  • 最初から、活用しやすいように蓄積すればいいのに……
  • あぁ、こんなデータがあったらいいのに……
  • 毎回、この苦労するの嫌だなぁ~、時間がかかりすぎる

たくさん思うことが出てきます。その結果、「まともなデータがない……」になります。

「まともなデータがない……」の場合、何をすべきか

まともなデータがない……」の場合、何をすべきでしょうか?

ビジネス成果のでるデータ分析をすべきです。それもできるだけ、理解されやすく成果の出やすいデータ分析です。

世の中的にはデータ分析・活用の注目度が上がっていますが、理解してもらえ積極的に協力してくれるどうかとは別問題です。

データ分析・活用のためのデータ整備などは、非常に大変な作業です。しかも、地味で先の見えない作業のようにさえ思えます。

しかも、データ整備しそれなりの分析結果を出したからといって、現場でそのデータ分析結果を使いビジネス成果を出すかどうかは別問題です。

つまり、データ分析・活用をスムーズに進めるためにも、一度「理解されやすく成果の出やすいデータ分析」を、大規模ではなく小規模でもいいので、すべきなのです。

その分析結果とビジネス成果をもって、周囲を説得すればいいのです。

さらに、小規模でもいいので成果の出るデータ分析をすることで、どのようなデータが必要で、どのようなフォーマットでデータを蓄積し、分析用のデータを作るためにどのような整備が必要なのかが、ある程度は見えてきます。

今回のまとめ

今回は、「『それなりにデータならあるんだけど……』≒『まともなデータがない……』だったりする。でも、すべきことがちょっと違う」というお話しをしました。

データの状況どうですか?」という質問に対する回答は、千差万別ですが、その中で不思議な答えがあります。

よくある回答として、「それなりにデータならあるんだけど……。上手く活用できていない」という回答と、「まともなデータがない……。使い物になるデータがなくて困っている」という回答があります。一見すると真逆の回答です。

もう少し掘り下げて質問をしていくと、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答と、「まともなデータがない……」という回答、データ状況だけを考えると「同じ」だったりします。もちろん全てではありませが。どう同じかというと、「データ分析できるほど整備されているデータはない」という意味で同じです。

なぜ、真逆のような回答になるのでしょうか?

違いは、そのデータでどこまでデータ分析したのか、にあります。

それなりにデータならあるんだけど……」の場合、そもそもデータ分析をするというチャレンジをしていない。「まともなデータがない……」の場合、データ分析にチャレンジしたけど、このデータ状況では十分なデータ分析ができない。

データ分析・活用という観点で考えると、「それなりにデータならあるんだけど……」という回答をする企業よりも、「まともなデータがない……」という企業のほうが、進んでいるケースが多いです。

では、それぞれで何をすべきでしょうか?

それなりにデータならあるんだけど……」の場合、先ずすべきことは、今あるデータで何かしら分析してみることです。どのような分析でも構いません。しかし、多くの場合、相当苦労すると思います。たくさん思うことが出てきます。そして、その結果の「まともなデータがない……」になります。

まともなデータがない……」の場合、何をすべきでしょうか? 大規模でなくていいので、小規模で理解されやすく成果の出やすいデータ分析をすべきです。

世の中的にはデータ分析・活用の注目度が上がっていますが、理解してもらえ積極的に協力してくれるどうかとは別問題です。現場でそのデータ分析結果を活用してくれないかもしれません。

一度、大規模でなくていいので、小規模で理解されやすく成果の出やすいデータ分析をすべきです。その分析結果とビジネス成果をもって、周囲を説得すればいいのです。

つまり、同じデータ状況でも、現在の立ち位置が微妙に異なり、ネクストアクションが微妙に異なります。