第117話|データ分析・活用でビジネス成果を安定的に確保するための戦略的資産とは

第117話|データ分析・活用でビジネス成果を安定的に確保するための戦略的資産とは

最近流行りのキーワードです。

  • AI(人工知能)
  • DL(ディープラーニング)
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)
  • データサイエンス
  • IoT(モノのインターネット)
  • デジタルマニュファクチュアリング
  • xTech
  • 自動運転
  • AIスピーカー
  • チャットボット
  • ロボティクス
  • データビジネス
  • 〇〇プラットファーム

などなど。

最近流行りのキーワードを並べると面白いことが分かります。すべてデータが必要ということです。

今回は、「データ分析・活用でビジネス成果を安定的に確保するための戦略的資産とは」というお話しです。

戦略的資産

戦略的資産とは何でしょうか?

ここでは、戦略的資産を以下のように定義します。

データ分析・活用の安定・発展を図り、
データ分析・活用の基盤を維持するために、
安定的に確保する必要がある資産

「戦略的」というワードからイメージできる通り、「短期的・場当たり的」ではなく「長期的・全体的」といったところです。

では、データ分析・活用の戦略的資産とは何でしょうか?

データ分析・活用の戦略的資産

データ分析・活用の戦略的資産として色々考えられますが、真っ先に挙げらと言われれば、以下の2つでしょう。

  • データそのもの
  • データから知識獲得する能力

データは、どこからともなくいきなり湧いてきません。知識獲得能力も、天から降ってはきません。

実験計画法

昔、実験計画法というデータ分析・活用には欠かせない、データ収集技術がありました。

「昔」というワードを使いましたが、「今」でも有効ですし使われています。

実験計画法とは、効率的なデータ収集を設計する技術で、分散分析という分析手法の概念と密接に結び付いています。

生産系やマーケティング系では、今でも比較的よく使われています。マーケティング系では、コンジョイント分析という名前で使われていることが多いです。

さらに、ネット系のデータ分析・活用で比較的よく登場する、ABテストや多変量テストも実験計画法の一種です。

ディープラーニング

最近流行りのディープラーニング

画像認識の世界で成功し、現在色々な分野で適応が試みられています。

ニューラルネットワークの枠組みで語れることが多いですが、今やニューラルネットワークの枠組みで縛られるものではなくなりました。

簡単に言うと、簡単な関数を組み合わせて「深い関数」(表現力の高い関数)を作り、そのパラメータをデータから推定する技術として語られることが多くなりました。つまり、ニューラルネットワークである必要はないわけです。

それはさておき、ニューラルネットワーク系のディープラーニングではある問題があります。

以下の2つの問題は、今現在非常に大きな問題となっていることでしょう。

  • どうやってデータを収集するのか?
  • どうやってアノテーション(データにラベルなどを与えて正解データを作る)するのか?

学習用のデータは、勝手に生成されません。誰かがデータを集め、学習用データを作る必要があります。

従来型の機械学習は、対象分野(ドメイン)の知識が精度向上に大きく寄与していました。ディープラーニングは、どちらかというとデータと計算量が精度向上に寄与する技術です。

今現在のディープラーニングの世界では、学習で使うデータそのものが大きな資産となっています。

ビッグデータの時代

実験計画法ディープラーニングの世界では、データを集め準備する、というのが大きなポイントです。

実験計画法は、データを集め準備するための技術ですし、ディープラーニングは、データ収集とアノテーション(データにラベルなどを与えて正解データを作る)次第です。

今現在は、ビッグデータの時代とも言われています。

簡単に言うと、量的にはガンガン湧き出てドンドン蓄積されて、質的には玉石混交の時代です。実験計画法ディープラーニングの世界とは、ちょっと異なる世界です。

実験計画法は、少量の良質なデータを取得する技術です。玉石混交のデータをディープラーニングで学習させたら、ヤバイことこの上ないでしょう。使えない何かが生まれます。

ビッグデータ的にデータ分析・活用を考えると、玉石混交のデータでも、無いよりはましです。

十分なデータがなければ、データを分析することも、データを活用することもできません。

玉石混交のデータの場合、クレンジングするという手間暇が発生する可能性が高く、作業コストも莫大になるかもしれません。

しかし、データが無ければ、手間暇すらかけられないのです。それなりのデータを手にする機会や可能性が全く無い、ということです。

そのため、少なくとも、データそのものは戦略的資産です。

データから知識獲得する能力

データそのものを溜めても、ディープラーニングで何かを学習させても、単に溜めたり学習させたりしただけでは、無価値です。

データから知識獲得する能力が必要になります。

知識獲得能力は、個人のスキルかもしれませんし、組織的なものかもしれません。

いきなり、デジタルトランスフォーメーションだ! データビジネスだ! ビッグデータだ! と叫んだところで、データから知識獲得する能力は個人からも組織としても、湧き出てきません

データから知識獲得する能力は、少なくとも「短期的・場当たり的」には獲得できないと思います。

データから知識獲得する能力のある個人を、外から連れてくるという手もありますが、組織としてデータから知識獲得する能力が無ければ、大組織であればあるほど何も起こらないことでしょう。

相対的に、個人の影響が小さいからです。影響力のある個人(例えば、CEOレベルの人など)を連れてくれば別でしょうが……

要するに、「データから知識獲得する能力」は、戦略的資産ということです。

そのためには、データ分析・活用を成果の多寡や規模に関係なく、組織的なチャレンジをし続ける必要があります。

今回のまとめ

今回は、「データ分析・活用でビジネス成果を安定的に確保するための戦略的資産とは」というお話しをしました。

データ分析・活用の戦略的資産として以下の2つが挙げられます。

  • データそのもの
  • データから知識獲得する能力

データは、どこからともなくいきなり湧いてきません。知識獲得能力も、天から降ってはきません。

「短期的・場当たり的」ではなく「長期的・全体的」に、この2つの資産を形成していく必要があります。

要するに、とりあえずデータは収集し蓄積したほうがいいし、成果が今一つでもデータ分析・活用は小さくてもいいので、組織的にチャレンジし続けたほうが良いと思います。