第300話|「データで出来ること」を軸にテーマを探し始めると視野が狭くなる

第300話|「データで出来ること」を軸にテーマを探し始めると視野が狭くなる

ビジネスにおけるデータは、あくまでも課題解決の手段の1つにすぎません。主役ではなく脇役です。

そもそも、ビジネス上の課題を解決するのに、データは必須ではありません

データが無くても解決できる課題はたくさんあります。

しかし……

  • DXだ!
  • ビッグデータだ!
  • データサイエンスだ!!
  • AI(人工知能)だ!!!

……と前のめりになっているとき、「データを使って出来ることはないか!」と考えがちです。

今回は、「『データで出来ること』を軸にテーマを探し始めると視野が狭くなる」というお話しをします。

データを使って何かしろ!

データを使って何かしろ!」という指示が、エライ人からくることもあります。

会社の雰囲気が、「データを使わなくてはならない……」となんとなくなることもあります。

このような状況に陥ると、「データで出来ること」を軸にテーマを探し始める人も少なくありません。

データの可能性を殺す

データで出来ること」を軸にテーマを探し始めると視野が狭くなり、場合によっては「データの可能性」を殺してしまうことがあります。

データの可能性を殺すとは、データで課題解決できたテーマを見つけられず、データで解決する機会を奪い去ることを意味します。

このような状況を避けるためには、どうすればいいのでしょうか。

「データでビジネス課題を解決しよう!」という考え方を捨てる

データ分析のテーマを探すとき、「データでビジネス課題を解決しよう!」という考え方を捨て、テーマを探すところから始めます。

えっ!」と思うかもしれませんが、データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考えていきます。

それが、ビジネス上の問題をデータ分析で解決する第1歩です。

例えば、ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」を、データを活用するかどうかに関係なく洗い出します。

データを使うという制約が外されることで、色々なビジネス課題(仕事の「お困りごと」)が洗い出されることでしょう。

2軸で考えるビジネス課題(仕事の「お困りごと」)のテーマ候補

このビジネス課題(仕事の「お困りごと」)のテーマ候補には4つのタイプがあります。

次の2軸でタイプ分けします。

  • 「悪い状態を普通にする」 or 「普通をより良い状態にする」
  • 「今のこと」 or 「未来のこと」

最も多い課題(お困りごと)

最も多く洗い出されるのが、「悪い状態を普通にする」かつ「今のこと」である「今目の前にある悪い状況を解消するためにすべきこと」です。

目の前で起こっていることなので、どのようなビジネス課題なにかが分かりやすく、解決できると現場から感謝されやすいのが特徴です。

油断をすると、この「今目の前にある悪い状況を解消するためにすべきこと」しか洗い出せれないことがあります。

そのため、悪い状態から抜け出すためでなく、現状に満足することなく、より良くすることも視野に入れていきましょう。

さらに、今の課題だけでなく。これから起こるかもしれない未来の課題も視野に入れていきましょう。

テーマ選定までの流れ

以上のように「データでビジネス課題を解決しよう」ということを一旦忘れ、ビジネス課題を洗い出します。

その後、「データを使ったほうがよさそうなテーマを探す」ということをします。そして、データ分析・活用のテーマを評価し選びます。

整理すると次にようになります。

  • 先ず、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出す
  • 次に、データを使ったほうがよさそうなテーマを探す
  • そして、データ分析・活用のテーマを決定する

ポイントは、「先ず、データの存在を忘れて、解決すべきビジネス課題を考える」というところです。

テーマ候補の多くは、ちょっとだけデータ分析の力が必要な課題

ビジネスの「お困りごと」である「ビジネス課題」の中から、どのようにして「データを使った方がよさそうなテーマ」を探せばいいのでしょうか。

探し方は非常にシンプルで、例えば次のような逆算アプローチで探していきます。

肝となるのが「Step 2-3」です。

Step 2-3」でデータ分析が必要かどうかの判断をします。もし、データ分析が必要であれば、その課題は「データ分析を活用したほうがよさそうなテーマ」となります。そうでなければ、データ分析をしなくても解決できる課題ということです。

Step 2-4」でどのようなデータが必要なのかを考え、「Step 2-5」でそのようなデータが存在するのかを考えていきます。

したがって、「Step 2-3」で「データ分析を活用したほうがよさそうなテーマ」とされても、「Step 2-5」でデータが手元にないことが分かり、「データ分析できない」となることがあります。この場合、テーマ候補から外れます。

これで、データ分析・活用のテーマ候補が抽出されます。

洗い出された3タイプのテーマ

その結果は、ビジネス課題(仕事の「お困りごと」)は、ざっくり次の3つのタイプに大別されることでしょう。

  • タイプ1 データ分析を使う必要がまったくない課題
  • タイプ2 データ分析をフル活用するほうがいい課題
  • タイプ3 ちょっとだけデータ分析の力を借りるほうがいい課題

私の経験上、「データ分析をフル活用するほうがいい課題」はほとんどありません。大半は、「ちょっとだけデータ分析の力を借りたほうがいい課題」です。

しかし、「企業内で、データ分析で何かやるぞ!」という声が上がった場合、この「データ分析をフル活用したほうがいい課題」をいきなり探すところから始めることが多い気がします。

現実はどうでないことを認識すると、テーマ候補はたくさんでてきます。

今回のまとめ

今回は、「『データで出来ること』を軸にテーマを探し始めると視野が狭くなる」というお話しをしました。

ビジネスにおけるデータは、あくまでも課題解決の手段の1つにすぎません。主役ではなく脇役です。

そもそも、ビジネス上の課題を解決するのに、データは必須ではありません。データが無くても解決できる課題はたくさんあります。

しかし……

  • DXだ!
  • ビッグデータだ!
  • データサイエンスだ!!
  • AI(人工知能)だ!!!

……と前のめりになっているとき、「データを使って出来ることはないか!」と考えがちです。

データで出来ること」を軸にテーマを探し始めると視野が狭くなり、場合によっては「データの可能性」を殺してしまうことがあります。

データの可能性を殺すとは、データで課題解決できたテーマを見つけられず、データで解決する機会を奪い去ることを意味します。

そうならないために、「データでビジネス課題を解決しよう」ということを一旦忘れ、ビジネス課題を洗い出します。

その後、「データを使ったほうがよさそうなテーマを探す」ということをします。

整理すると次にようになります。

  • 先ず、データを活用するかどうかに関係なくビジネス課題を洗い出す
  • 次に、データを使ったほうがよさそうなテーマを探す
  • そして、データ分析・活用のテーマを決定する

ビジネス課題(仕事の「お困りごと」)は、ざっくり次の3つのタイプに大別されることでしょう。

  • タイプ1 データ分析を使う必要がまったくない課題
  • タイプ2 データ分析をフル活用するほうがいい課題
  • タイプ3 ちょっとだけデータ分析の力を借りるほうがいい課題

私の経験上、「データ分析をフル活用するほうがいい課題」はほとんどありません。大半は、「ちょっとだけデータ分析の力を借りたほうがいい課題」です。

しかし、「企業内で、データ分析で何かやるぞ!」という声が上がった場合、この「データ分析をフル活用したほうがいい課題」をいきなり探すところから始めることが多い気がします。

現実はどうでないことを認識すると、テーマ候補はたくさんでてきます。